日々是肉球

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ディケンズ短編集

読書の秋。
ディケンズの短編集を読んだ。

ディケンズと聞いて思い浮かぶのは、(「クリスマス・キャロル」を除いて、)「オリバー・ツイスト」、「二都物語」、「大いなる遺産」など、1冊には収まらないサイズの長編、大作。
そんなディケンズが短編を書いているとは知らず、図書館で見かけて、「通勤のお供によさそうだ」と手に取った。

そもそもこれが自分の思い違いなのかも知れないけれど、ディケンズは「心温まる」物語を書く人だと思っていた。「世の中は辛くて苦しくて汚いことも多いけど、それでも人生捨てたもんじゃないよ」と、読み手を励ますような物語を。

しかし、この短編はむしろ、人間の狂気や醜悪さ、死の不気味さといったダークサイドが徹底的に掘り下げられていて、心温まるどころの話ではない。「狂人の手記」はディケンズ本人が狂っているとしか思えないし、「信号手」はこれまで読んだり聞いたりしたどんな怪談よりも背筋が寒くなる。

通勤のお供に求めていた心温まる時間は期待すべくもなかったけれど、そこはディケンズ、やっぱり読ませる。眉間にしわを寄せながらも(たぶん寄っていたと思う)、昼休みまで費やして一気に読んでしまった。
こういう暗い側面を徹底的に描くことができるからこそ、本当に読む者の心を温める物語を書くことができるのかもしれない。

人間が抱える表と裏、明と暗を行き来できる人々の作品には、深みがあると思う。例えば、映画でいえば、コーエン兄弟の「ビッグ・リボウスキ」と「ノー・カントリー」、デビッド・リンチの「ストレイト・ストーリー」と「インランド・エンパイア」。「ツイン・ピークス」なんて、数分ごとに行ったり来たりしている。

♨む♨
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by yun-ron | 2011-10-23 22:43 |

自分史上最悪の夢

月曜の夜に見た夢。
夢を憶えていることは滅多にないのだが、これは久しぶりに強烈だった。

場所は荒涼としたテーマパーク(的なところ)。

自分と妻は、原因は定かではないが、非常に険悪である。

突然吐き気をもよおし、豪快にリヴァース。(失礼。)

気分が悪いままふらふらと歩いていると、手すりのないフロアから、突然下の階に転落する。
(普通はここでビクッときて目が覚める。授業中に居眠りしているときによくあったパターン。)

床にたたきつけられる。痛いというほどでもないが、心理的にショックだ。
(夢の中で、「落ちる瞬間に目が覚めるはずなのに」と思っていたような気がする。)

ふらふらと建物を出る。
自分の行くべき建物はわきまえていて、まっすぐにそこに向かう。

「そこ」は砂漠のようにさらさらした砂で満たされている建物で、そこに入ると間もなく、自分は砂に埋もれ始める。
恐ろしいが、「これで死ぬわけではない。しばらく我慢すれば、生き残れる。」という確信めいたものを感じている。

顔まで砂に埋もれ、「それにしても、これは苦しいなあ。」と切羽詰まったところで、ガバッと目が覚めた。

1日中引きずるくらい強烈だったが、その日以降、何かろくでもないことが起こったかというと、特にそういうわけでもない。

夢って何なんでしょう?

♨む♨
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by yun-ron | 2011-10-19 22:50 |

1年

正月や誕生日や記念日。
いろいろな場面で1年を振り返ると、「あっという間だったなあ」と思うのが常である。

ある知人が亡くなって、来月の13日で1年になる。
この1年に関して言えば、「まだ1年か」と感じる。それがなぜかは分からない。

彼女は、馴染みのお店を通じて知り合うこととなった、親愛なるご近所さんであった。お互い、それぞれの交友関係の中にあっては、極めて親しいというほどではなかったかもしれないし、長い付き合いというほどでもなかったかもしれない。しかし、我々にとって彼女は、確かにかけがえのない方であった。エフの奥の席でのんびりとコーヒーを飲みながらよもやま話をしたことは、決して忘れることはないだろうと思う。

彼女が亡くなったという事実から受ける影響をなるべく排して、彼女のことを思い出してみる。


常に穏やかに、優しく接していただいた。

いつも自然体でおられた。

よき話し手であり、よき聴き手であった。

生きることを楽しんでおられた。

(冗談は別として)皮肉や嫌味、他人を傷つけるようなことを口にするのを聞いたことがない。

(若輩者から申し上げるのは失礼かもしれないけれど)実にかわいらしい方であった。

浅草の街と人々を心から愛しておられた。

旦那様を心から愛しておられた。


亡くなられる前に、もう一度お目にかかる機会が欲しかった。
お会いするたび、我々の心に一服の平穏を与えてくださったことに、改めて感謝いたします。
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by yun-ron | 2011-10-13 00:25 | あれこれ

江戸

連休であります。秋は気候もいいし、連休も多いし、いいですね。

土曜。

自転車で両国の「江戸東京博物館」へ。こんなに近くに住んでいるのに、まだ行ったことがなかった。ちなみに、国技館も行ったことありません。

入場すると、まず日本橋のレプリカを渡って展示コーナーへ。のっけから演出過剰な気もするけれど、薄暗い照明と高い天井は、いかにも「博物館」的な雰囲気。夕方近いからか人はまばらで、ゆったりと見物できる。

江戸の町並みを再現した精巧なジオラマを双眼鏡で覗いたり、輿に乗り込んでみたり、徳川家の家系図や古地図や年表を眺めたり、纏(まとい)や千両箱を持ち上げてみたり、菓子屋番付で知っている店を探したり、大岡越前や水戸黄門のことを思い出したり、印刷技術に感心したり、浄閑寺の由縁にしんみりしたりしたりしていると、あっという間に2時間以上経過している。まだ半分くらいしか見終えていないが、夕食の予約をしているので出なければならない。またゆっくり見物しに行こう。JAF会員だと、入場料が割引で600円が480円になるし。

夕食は大好きな人形町のピッツェリアにて。窯で焼いた香ばしいピッツァ(もちもち系)はもちろん、一品料理もデザートもワインもサービスも素晴らしい。2、3カ月に1度、無性にピッツァが頬張りたくなると、このお店にお邪魔することになる。

タコのフリットやらジロール茸(アンズ茸)のピッツァやらモッツアレラチーズとトマトソースとルッコラのピッツァやらバナナとチョコチップのジェラートやらを平らげ、ワイン(レフォスコなる赤の土着品種。初耳。)を1本空けたら、身動きとるのが面倒なくらい腹がくちくなった。

それにしても。
東京って、本当に富(というと語弊があるかもしれないけれど)が集中している。
さんざんその恩恵に与っているわけで、生活する分には実に便利で楽しいのだけれど…ちょっと行きすぎているように思える。自分の終の棲家はどこにすべきだろうか。東京ではないどこかであるように思えるけれど、具体的なイメージが浮かばない。

日曜。

贅沢だなあ、と若干の罪悪感を感じつつ、浦安の吉野屋へフグ釣りに。
専用の道具の力を実感した先日のカワハギとは違い、キス用の竿で臨む。キス竿ではフグの微妙なアタリを察知できないのはこれまでの経験でよくよく承知しているけれど、年に数回の釣りのために、そうそう道具ばかり買い揃えるわけにもいかない。

好天の連休中日ということで、船宿は大混雑。休日はたいてい混んでいるが、これはちょっと凄まじい。女将さん曰く、ここ数年で一番の入りとのこと。今が旬のカワハギは3艘で出船。フグ船もぎゅうぎゅう詰めの30人。

大貫沖の海苔棚付近で、観音様を横目に竿を垂れる。海苔は、棚に芽が着いてきたところとのこと。万が一にも芽を傷めることのないよう、慎重に操船する船長。
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開始直後に良い型のアカメ(ヒガンフグ)を上げて意気揚々、この調子で…と意気込んだものの、その後はさっぱり。結局2匹で納竿。アタリを取るどころか、餌さえ滅多についばんでもらえなかった。いやはや。難しいったら。
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なかなか思ったとおりにはいかないのが自然相手の道楽の醍醐味であります。

♨む♨
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by yun-ron | 2011-10-09 21:18 | あれこれ

6月の石巻のこと

気を失っているうちにもう10月!
早いなあ。猫たちの体の中では、さらに4倍で時間が流れていると思うと
片時も無駄な時間はないと思えるのです。

先日は、山元町へボランティア行ってきましたが
石巻のことをまだ書いていなかった気がするので、まずそのお話を。

石巻は、父の生まれ故郷です。
もう親戚一同仙台や山元町などに移っており、今回石巻では被害に遭わなかったけれど。
叔母の友人などが多数犠牲になったと聞き、胸が痛む。
合気道の兄弟子の出身大学もあり、先輩が亡くなったとのこと。
もちろん石巻出身で親戚が多数犠牲になったという方もいる。
身近に東北にゆかりのある人が存外多く、私にとっても他人事ではまったくない。

6月中旬、出張の振休を利用して
また車中一泊弾丸ボランティアバスツアーに参加。

23時、池袋駅でバスに乗り込み、一路石巻へ。
4月に行ったときは初めてで、素人が役に立つかとても緊張していたのだけれど
今回は二回目、夫は仕事の都合がつかなかったので一人での参加。
周りも一人参加が多かった。
年齢は20代~60代まで、それぞれがそれぞれの思いを抱えて、静かに夜行バスの眠りにつく。

東北道はまだ道路が凸凹していて、ガタンガタンという衝撃で時折目が覚める。
しかしこの長さの道路を震災後急きょ直したって、すごいなあ。
道路は大動脈。
深夜の東北道を、ひた走る。

翌朝、石巻へ入る。
旧北上川を渡り、一見4月の東松島よりきれいに見える家々。
でもよく見ると、壁の2~3mの高さにうっすらと泥の線がついている。
津波は川を遡り、こんな高さまできたのだ。

作業場所付近に到着、それぞれ長靴やカッパなどを着込む。
(私は家から長靴履いていったけれど)

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作業場所は避難所となっている湊中学校の裏。
翌日が石巻の合同慰霊祭ということで、
遠方に避難している人々も帰ってくるとのこと。
すこしでも片付いた町を見てほしい、という地元ボランティアセンターの方々の意志で
人々を乗せたバスが通る沿道のお掃除をすることに。

スコップで、側溝にたまったヘドロを掘り返し、土のう袋に詰める。
周囲は水産加工工場が多かったせいか、魚の腐ったような強烈な匂い。
ヘドロを掘り返すと、魚の死骸に混じって、ウジ、ウジ…
こんなにたくさんのウジ虫を初めて見た。
これが全部ハエになり、夏、避難所の皆さんを悩ませていたわけだ。

匂いと粉塵とハエ。かなりきつい環境。
そして作業をしていると汗だくだくで、暑い。
水を頻繁に摂り、熱射病にならないようにこまめに休憩。
さぼってるわけじゃないのです。自己管理しないと、お荷物になってまう。

電柱がひん曲がっている。
自衛隊のトラックも行きかい、荒廃した大地は本当に戦後のよう。

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作業途中、自衛隊と一緒に歩いていた地元の作業服姿の若者が近づいてきた。
「どちらからですか?」
「東京です」
「遠いところからありがとうございます」
「こちらこそ…本当に大変ですね」
「まぁ…今自衛隊と遺体を捜索しているんです」
「まだこの辺りにあるのですか?」
「昨日も向こうの側溝で見つかったし、この辺の家はまだ最近まで手が付けられない状況だったので。何かの作業をしていて遺体があると、自衛隊に連絡が入るので、向かうんです」
「それはつらいですね…」
「まだまだですねぇ。でもこうして遠くから来てくれてる姿を見ると、ほんとに嬉しいっす」

ニコニコと、屈託なく話してくれた。
一番つらい人は、一番笑っているものなのだ。
私の方は、なかなか言葉が出ない。

湊中学校の裏の道は泥が一応片付き、なんとなくきれいになった。
近くの葬儀場をお借りして、昼食をとることに。

道すがら、墓地に車がひっくり返っている。
ボランティアセンターの若者たちは本当によく動き、心強い。

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東京で買って持ってきたおにぎりを食べながら、バスで隣の席だった女の子と話す。
都内の大学生で、タフな旅が好きで、バックパッカーの経験もあり、メキシコが良かったと話してくれた。
私もメキシコの骸骨祭り、行きたいんだよね~と、束の間の談笑。
見た目は普通のお嬢さんなのに行動的な彼女は、特にこれまでボランティアに興味があったわけでもないけれど、今回の惨状を報道で知り何かできないかと思い、一人で飛び込んだとのこと。
こういう若い人、たくさんいて欲しい。

午後は街道沿いの住宅前の側溝のヘドロ除去。
掘っても掘っても、水がどこからかどんどん流れ込んでくるので、作業成果が見えない。
これは終わりがあるのか…と少し絶望的な気持ちになりながら(おそらくみんな同じ気持ちだったに違いない)、それでも自然にスコップ係と土のう袋係のペアになり協力し合って、ひたすら泥を掻く。
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ようし完了!と胸を張って言えない状態で、時間切れ。
ヘドロを除いたところに汚水が入り込み、「水路開通させちゃったね…」と少し呆然としてバスに戻る。
何だか地元の人に申し訳ない。

帰りのバスは、みんな爆睡。
肉体を酷使することは、素晴らしい。
頭をからっぽにして、何かに奉仕するということがこんなに心地良いなんて。

語弊はあるかもしれないけれど、ボランティアは純粋に楽しい。
特に善なることをやっている、という意識はまったくない。
自分は体が自由に動く、困っている人がいる、手伝う。
それだけのシンプルなものです。
ボランティアという言葉が、物好きな偽善者がやるもの、という一部の偏ったイメージで垣根をつくってしまっているのかも。
大規模な組織とかになるとまた大変なんだろうけれど。

夜、池袋駅到着。
別れ際に、一緒に働いた若者に、「また参加しますか?」と聞いた。
「俺、今アメリカにいて、今回は里帰りだったんですけど、どうしても来たかった。今度帰ってこれるときは、また参加したいです」
と美しい目で力強く答えた。
こういう若者ばかりだと思うんだ、ニッポン。本当は。

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最近ボランティア帰りの高速サービスエリアで、お土産を買うのがひそかな楽しみになっています。

合気道のおかげで、今のところ全く筋肉痛とは無縁。
丈夫な体と両親に、あらためて感謝。

kiii
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by yun-ron | 2011-10-08 12:16 | あれこれ

気になってた店と気になってた映画

土曜。

何年も前から、何となく気になっていた松が谷のビストロに行ってみた。

朴訥としたお兄さんが一人で切り盛りしているらしい。6時きっかりに予約なしでフラッと入ってきた2人にちょっと不安を覚えた様子。「私一人でやってますので、時間がかかりますが…」とぼそぼそ。時間はかかっても全然かまわない。肉を食べないと伝えると、「うちはあまり魚料理がなくて…」とぼそぼそ。そう言いつつも、ホタテのオムレツとサーモンのジャガイモ包み焼きを出してくれた。これだけあれば十分です。素朴ながらも丁寧な仕事。カウンターの奥で忙しそうに立ち働いているが、一人ではちょっと大変そうだ。

(洋食をたらふく食べると8割がた腹を壊すので)軽めに食事をして、なかなかうまいワインを1本空けほろ酔いで店を出る。

ツタヤに寄って、これまた前から何となく気になっていた「第9地区」をチョイス。
ちょっと疲れるけれど、なかなか面白いSF映画だった。地球語をしゃべるベタベタの甲殻類系宇宙人を見ても白けないのは、斬新な設定、やりすぎない特殊効果、気合の入った演技それに南アフリカのロケーションの素晴らしさのなせる業か。宇宙ネタはハリウッドの十八番のように思えるが、これは完全に凌駕している。やっぱり映画は金じゃないのであります。

♨む♨
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by yun-ron | 2011-10-04 00:34 | 映画

ヒトコトないしフタコトミコト
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